Monophonic Chiptune Album
前代未聞! 最大同時発音数1のチップチューン・アルバム
このCDでは、単音(モノフォニック)で、メロディーだけでなく、リズムやハーモニーも演奏しています。
鼻歌でメロディーを口ずさみながらドラムや伴奏もひとりでやろうとすると大変なことになりますが、そんなむちゃなことがチップチューンではできるのです。
過去にゲーム&ウオッチやカセットビジョンなど単音のゲーム機はありましたが、おもに効果音を鳴らすためのもので音楽にはほとんど使われませんでした。そのためチップチューンでも単音にはフォロワーが少ないのが現状です。
何かがちょっと遅れて聞こえたりする少し不思議な音楽ですが、さまざまなテクニックを駆使することで、単音でも多彩なジャンルの音楽が表現できることを、ぜひあなたの耳で確かめてください。
過去にとらわれない、新しいモノフォニック・チップチューンの世界が、今ここから始まります。
完全新作オリジナル曲集(ゲスト含む24曲収録)
ジャンル |
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参加者 |
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発行日 | 2017年9月10日頃(同人ショップに入荷次第販売開始となります) |
頒布価格(イベント) | 500円 |
頒布価格(委託) | 税抜700円(税込756円) |
委託同人ショップ |
Total Time 51:39
純粋に音楽的探求心のみで1音の可能性を追い求める作曲は原体験に近い楽しさがありました。ひとつの到達点であると確信し、本作をもってASIA LUNARの活動を終了する決意を致しました。今迄どうもありがとう。
ある日突然、音の重なりを封印された呪われた不条理世界。
残響のない機械的な静寂に戦慄し、人々は皆息を殺した生活を余儀なくされた。
糸電話のような不自由な会話。人数の多寡を問わず一人しか聞こえない挨拶、拍手。ソリストが台頭し、ピアノはただのガラクタになり、楽団はその存在意義を失った。
音楽史上から8世紀にわたるハーモニーが今滅亡の時を迎えようとしていた。だが路上のチップチューナーが奏でる摩訶不思議な音に人類最後の希望があった。
高速アルペジオの擬似和音はハーモニーを後世に遺すオーパーツの発見だったのだ。しかし時を同じくして全世界でマニアを狙ったサウンドチップの破壊、略奪が急増。
調査を進めた国連は、呪いが音による地球支配を企む宇宙人によるものと結論付けた。
ボイジャーのゴールデンレコードは地球の文化的支配という智慧を与えていたのだ。チップチューナー達は残されたゲーム機を手に音楽の自由を奪還すべく立ち上がった!
CHIP UNIONに掲載された仮ジャケットです。ゲームボーイのモノクロ4階調、160×144ドットに沿って作成したものです。
究極のミニマリズム!最大同時発音数1のチップチューン・アルバム楽曲募集中 https://t.co/2du5qoyPXW
— CHIP UNION (@chipunion) 2017年7月18日
Tr.19の「The Song of Life」(TBS「世界遺産」テーマ曲)はモノフォニック・チップチューンから始まり、次第にファミコン相当の音色や発音数に増えていきますが、アウトロでは再びモノフォニック・チップチューンに戻るというアレンジにすることで、20作目という節目を迎えたサークルFMPSGの年輪を感じさせています。
モノフォニック・チップチューン(1音チップチューン)とは、音楽の三要素(リズム・メロディー・ハーモニー)を、音の重なりなく単音で打ち込んだチップチューンのことです。メロディーのすき間を埋めるように他のパートを配置し、高速アルペジオなどのテクニックを使ってハーモニーを表現します。
日常生活で耳にすることの多いビープ音も、往時はゲーム音楽に使われたことがありました。しかし制約が厳しいことからチップチューンではフォロワーが少ないのが現状です。モノフォニック・チップチューンのすそ野を広げるべく、この作品づくりに取り組んでいきます。経緯についてはブログをご覧ください。
ファミコン発売前はゲーム&ウオッチなどの電子ゲームをはじめ、カセットビジョンなどのゲーム機でもサウンドチップの最大同時発音数が1音のゲーム機が主流で、ゲーム中は効果音しか鳴らないものがほとんどでしたが、ファミコン発売後は3~4音のゲーム機が主流となり、ゲーム中に効果音とBGMが同時に鳴るのが当たり前となっていきました。
1984年に発売されたスーパーカセットビジョンは矩形波3音とノイズ1音を合成した1音を鳴らすという音源で、ファミコンよりも幅広い音色を作ることができました。
一部のゲームでは擬似的に2音鳴っているように聞かせているものもありますが、明確に別のパートが鳴っているものは少なく、オクターブ重ねで同じメロディーラインが鳴っているものが多いです。また、この頃の効果音は高速で音程を変えて作られていましたが、まだ曲中で高速アルペジオのような使われ方はしていません。
その後、ゲームボーイの発売で電子ゲーム市場は縮小しましたが、1996年に発売された『ミニテトリン』と『たまごっち』によってキーチェーンゲームが爆発的ヒットとなり息を吹き返します。
1997年の『てくてくエンジェル』で歩数計ゲームが生まれ、1998年にはゲームボーイを小型化したような『ポケットピカチュウ』が発売します。
これを受けて開発されたのがドリームキャストのビジュアルメモリです。メモリーカードだけでなく、単体でも小型ゲーム機として機能し『あつめてゴジラ』などあらかじめゲームが入った状態で発売されたものもありました。
音源はビープ音と貧弱ですが『ポップンミュージック』が遊べるなどちゃんと音階も鳴りました。電池切れの状態でドリームキャストの電源を入れると大音量で鳴るピー音だけではないのです。
2000年に発売された『ポケモンミニ』は『ポケットピカチュウ』をカートリッジ交換型にしたようなものですが、3段階の音量があり、ビープ音は音量によって音色が変化するため、1音にも関わらずさながらゲームボーイのような表現力を持った音源となっています。1音ゲーム機の最終進化形といっても過言ではないでしょう。
ポケットモンスター専用のゲーム機だったため未知のポテンシャルを秘めたまま市場から姿を消しましたが、ポケモンミニの衝撃がなければ私は1音チップチューンの世界に足を踏み入れることはなかったでしょう。
なお、ポケモンミニはGB KISSやゲームボーイカラーからさらに進化した赤外線通信機能が特徴的で『ポケモンショックテトリス』では処理落ちが激しいものの赤外線通信でリアルタイム対戦ができるほか、『ピチューブラザーズミニ』では最大10人まで同時に遊べるなど驚異的な通信性能を誇ります。サウンドの素晴らしさとともにぜひ一度実機で体験していただきたいですね。
本講座はモノフォニック・チップチューンを楽しむための手引書としてまとめました。夏休み・冬休みの自由研究にいかがでしょうか?
鼻歌でメロディーを口ずさみながらベースラインやドラムもひとりでやろうとすると大変なことになるのは想像に難くないことと思います。それもそのはず、人間の声は単音(1音)なのです。ホーミーのような特殊な歌唱法をのぞき、人はひとりでは和音を歌うことはできないのです。しかし人間にはできないこともコンピューターだったらできてしまいます。
コンピューターを使って、あなたも音楽を1音で作ってみませんか?
音楽を1音で作るということは、言いかえるとモノフォニーではなく、ポリフォニー・ホモフォニーを1音で作るということになります。
その手法として、次の2つが考えられます。
本講座では童謡「赤とんぼ」を例に、おもに「2. 表拍と裏拍」についてくわしく解説していきます。
※「赤とんぼ」はBPM60ですが、作例ではBPM120に変更しています。また、メロディーは楽譜より1オクターブ上で打ち込んでいます。
時分割は、おもにビープ音しか搭載されていない古いパソコンなどで音楽を演奏するために用いられた手法で、複数の異なる周波数を時間的に配列して、1音で複数のパートを演奏します。考え方としては、後述の高速アルペジオと同じですが、曲全体をミリ秒単位で細かく分割する点が異なります。
このピアノロールでは、楽譜どおりに打ち込まれているように見えますが、拡大すると音符が細かく時分割されているのがわかります。
作例では0.002秒単位で1音を5分割していますが、この周期がくるうと音痴になります。音色はほぼノイズで、音程は低音になるほど不明瞭になります。作例の場合は全体的にもう1オクターブ高くすればより音程が聞き取りやすくなるでしょう。
拍を前半と後半に分けたうちの、前半の部分を表拍、後半の部分の部分を裏拍といいます。
音符を半分にするともう半分は休符になりますが、ここではこの休符を埋めるように何かを入れることで2音以上鳴っているように聞かせる方法について解説していきます。
「赤とんぼ」のメロディーをベタに打ち込んだ状態です。
8分音符を半分の16分音符にしました。作例では長音符を分割し、全ノートを16分音符で揃えました。
作例では休符を埋めるように伴奏の低音を入れることで2音鳴っているように聞かせています。
作例2-1のメロディーのみの状態から、作例2-2・2-3では音符を半分にすることでできた休符に、メロディー以外の何かを入れられる状態になったところまでを説明しました。
一般的な音楽はリズム、メロディー、ハーモニーの三要素から成り立っていますので、メロディー以外の何かとはリズムとハーモニーということになります。
音楽の三要素を表拍と裏拍のどちらに入れるべきかはケース・バイ・ケースといえるでしょう。次に「表拍がメロディーの場合」と「裏拍がメロディーの場合」の特徴をまとめます。
表拍にメロディーを、裏拍(黄色の部分)にリズム・ハーモニーを入れた場合、曲は後ノリとなり、リズム・ハーモニーが遅れて聞こえるか、メロディーが走っているように聞こえます。
反対に表拍(黄色の部分)にリズム・ハーモニーを、裏拍にメロディーを入れた場合、曲は前ノリとなり、メロディーが遅れて聞こえるか、リズム・ハーモニーが走っているように聞こえます。
このように「表拍がメロディーの場合」と「裏拍がメロディーの場合」を聞き比べると、「赤とんぼ」の場合は後者のほうが違和感が少ないように聞こえるのではないでしょうか?
音楽を1音で作る場合、長音符をどのように表現するかは悩みのタネです。解決方法のひとつとして、音量を下げたゴーストノートによるディレイ効果が挙げられます。
オレンジ色の部分が音量を下げたゴーストノートによるディレイ効果です。音量の下げ幅やゴーストノートの配置によって効果が変わりますのでいろいろ試してみてください。なお、このテクニックはビープ音など音源側の仕様で音量が固定されている場合は使えません。
高速アルペジオは、和音を細かい分散和音で演奏することで、擬似的に和音が鳴っているように聞かせる方法です。
作例ではメロディーを64分音符に短くして、休符を同じく64分音符の分散和音で隙間なく埋めて、伴奏の音をなぞっています。このように慣習的にアルペジオと呼ばれていますが、必ずしも発声が上昇もしくは下降の音高順であるとは限りません。
高速アルペジオは発音数が少ないチップチューンでは頻繁に用いられる手法で、ギョロギョロとした特徴的な音色になります。そのため苦手な人もいるので、作風によっては使用を避ける場合もありますが、音楽を1音で作る場合はむしろ積極的に活用していくことになります。
高速アルペジオの応用で、数オクターブの同じ音を瞬間的に鳴らすことでオーケストラヒットのような迫力ある音色を作ることができます。
作例では1つの16分音符を4つの64分音符に分け、4オクターブの同じ音を瞬間的に鳴らしています。また作例では下降形ですが、音の出だしが高音か低音かによって重厚感や明瞭感が異なりますので、上昇形の方がよい場合もあります。
作例ではディレイを付けていませんが、休符をディレイで埋めるとよりオーケストラヒットっぽくなります。いろいろ試してみてください。
本講座をまとめた動画です。おさらいにどうぞ。
『禁重音狂奏曲』ではモノフォニック・チップチューン作品を募集しています。